療養泉の定義

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古くから湯治に用いられる療養泉ですが、これにもちゃんと定義があります。

温泉の定義も別にあるのでなんだか混乱しそうになりませんか?

実は温泉の定義とはちょっとだけ違っています。

ここでは療養泉の認識を深めていきましょう。

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療養泉の定義

療養泉とは、温泉(水蒸気その他のガスを除く。)のうち、特に治療の目的に供しうるもので、別表の温度又は物質を有するものと定義されています。

温泉の定義には含まれている“水蒸気その他のガス”は、療養泉に当てはまらないのです。

療養泉の条件

1.温泉(温泉源から採取時の温度)が25℃以上である

2.温泉水1kg(1L)中に溶けている物質の量が別表のうち1つ以上でも基準値を超えるもの

3.溶存物質(ガス性のものを除く)の総量が1000mg/1kg以上あること

1~3のどれか1つでも満たせば療養泉となります。

物質名 含有量(1kg中)
溶存物質(ガス性のものを除く) 総量1,000mg以上
遊離炭酸(CO2)(遊離二酸化炭素) 1000mg以上
総鉄イオン(Fe2+,Fe3+ 20mg以上
水素イオン(H+ 1mg以上
ヨウ化物イオン(I 10mg以上
総硫黄(S)[HS+S2O32-+H2Sに対応するもの] 2mg以上
ラドン(Rn) 30(百億分の1キュリー単位)

=111Bq以上(8.25マッヘ単位以上)

平成26年 環境省自然環境局より

なんだか温泉と似ていますね。しかし“ガス性のものを除く”と“溶存物質の量”が異なります。

鉱泉との関係

温泉法の中には“鉱泉”といった単語が出てきます。

これは療養泉と非常に関係する言葉で、温泉とは別に定義されています。

鉱泉とは、中から湧出する温水および鉱水の泉水で、多量の固形物質、またはガス状物質もしくは特殊な物質を含むか、あるいは泉温が、源泉周囲の年平均気温より常に著しく高いものをいいます。

これは温泉とほとんど同じでは、と思いませんか?

そうです。ほとんど同じなのです。

つまり、温泉法で定めた温泉のうち、水蒸気その他のガスを除いたものが鉱泉で、鉱泉のうち一部が療養泉となるのです。

図にするとこうなります。理解しやすくなりますね。

特殊成分

療養泉の条件になる物質は特殊成分という言い方をします。

温泉の条件でも同じ物質が記載されていますが、量が違うだけで特殊という扱いになります。これは療養泉が「特に治療の目的に供しうるもの」であるからですね。

しかし上記で確認したように25℃以上の温泉でも“水蒸気その他のガス”でなければ療養泉となるのです。

なぜでしょう?

環境省が出している温泉法の解説から考えましょう。

温泉の定義は、医学、薬学あるいは地質学、水文学等それぞれの観点によって異なるものである。(中略)医治効能のあること等を温泉の要件として加えるべきではないかという問題は残るが、温度及び成分こそが温泉を他の一般地下水から区分する最も本質的な要件であり、この点を誤りなく規定すれば、温泉の法律的定義として十分であろうとの理由で本条の規定ができたものである。

諸外国温泉法の目的については、療養保健等の公益保全を直接の目的とするものと、観光休養等間接ながら社会的経済的利益保持を主眼とするものなどがあり、その所在地の国民性等によって自然に定まって来るところが多く、したがって、その法律的価値も一概に断定できない。

各分野で温泉の定義は変わってくる上、その土地に住む人々や利用者によっておのずと価値が定まってくる文化風土上の性質に合わせて、法律ではあえて断定しないということです。

実際に、特殊成分を含まない(規定量以下)温泉でも25℃以上のお湯ならば単純温泉をいう言い方をします。これにもちゃんと健康増進の効果がありますので、立派な療養泉ということです。

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