ついにジブリの制作発表が行われました。
宮崎駿監督は現在制作中のアニメタイトルは「君たちはどう生きるか」になると明かしました。
「風立ちぬ」のときもそうでしたが、題名からしてなかなかに硬派な作品になりそうです。
今回は「君たちはどう生きるか」のあらすじとアニメとの関係、ついでに宮崎駿監督の行方を見ていきます。
スタジオジブリの新作
アニメの新作情報は2017年10月28日に早稲田大学で行われたイベントに宮崎駿監督が出席した際、作家・半藤一利さん対談中に明かされたものです。
タイトルの“君たちはどう生きるか”については1937年に発表された吉野源三郎の本から取ったもので「完成には3年か4年かかる」と話しており、ズシっとした長編アニメになりそうな予感です。
個人的に、最近の氏の作品は思想系が多くなってきたなぁと思っていて、たまにはナウシカやラピュタのようなガッツリ冒険活劇も欲しいところです。
「君たちはどう生きるか」のあらすじと時代背景
この本は1937年に発表された吉野源三郎の小説です。本の位置付けとしては児童文学であり倫理・教養教育の古典として扱われています。
この本のあらすじと時代背景をみることで、新作の内容を予想する手がかりになるかもしれません。
簡単なあらすじは
旧制中学二年(15歳)の主人公である本田潤一ことコペル君は、学業優秀でスポーツも卒なくこなし、いたずらが過ぎるために級長にこそなれないが人望はないではない。父親は(亡くなるまで)銀行の重役で、家には女中が1人いる。
同級生には実業家や大学教授、医者の息子が多く、クラスの話題はスキー場や映画館、銀座や避暑地にも及ぶ。コペル君は友人たちと学校生活を送るなかで、さまざまな出来事を経験し、観察する。
各章のあとに続いて、その日の話を聞いた叔父さんがコペル君に書いたノートという体裁で、「ものの見方」や社会の「構造」、「関係性」といったテーマが語られる、という構成になっている。
コペルニクスのように、自分たちの地球が広い宇宙の中の天体の一つとして、その中を動いていると考えるか、それとも、自分たちの地球が宇宙の中心にどっかりと坐りこんでいると考えるか、この二つの考え方というものは、実は、天文学ばかりの事ではない。世の中とか、人生とかを考えるときにも、やっぱり、ついてまわることになるのだ。
— ものの見方について(おじさんのノート)
(出展:wikipedia)
1930年代は「満州事変」「ナチス政権」「二二六事件」「日中戦争」と不穏な空気が漂う時代でした。
その真っ只中にいるなか、現代寄りの倫理思想、社会構造と自分の関係性を表現したこの本は、当時では最先端であり、今でも身に染みる内容となっています。
名著のアニメ化なのか?
漫画にもなるほどの名著ですが、スタジオジブリでやるからには単純なアニメ化という訳ではなさそうです。
このタイトルをつけたのは「その本が主人公にとって大きな意味を持つという話」だからと話しています。
2013年の映画“風立ちぬ”の時を思い出してみると、堀辰雄の小説“風立ちぬ”を元にしてはいるものの宮崎駿監督の創作要素が結構盛り込まれていました。
今回の新作も、「君たちはどう生きるか」の本との関わりを通して主人公が成長していく物語になる予感がします。
アニメとしてどのようなアレンジを見せてくれるのか楽しみです。
宮崎駿氏はお約束の引退宣言
なんかもう新作発表と同時上映!みたいな風物詩となっている、宮崎駿監督の引退宣言。
前回は「風立ちぬ」を最後に長編映画から引退すると発表していましたが2017年2月に撤回しています。
当時の引退宣言の記者会見で「何度もやめるといって騒ぎを起こして来た人間なので、どうせまただろうを思われていますが、今回は本気です」と発言されています。
2017年5月には公式サイトで「年齢的には、今度こそ、本当に最後の監督作品になるでしょう。この映画制作完遂のために、若い力を貸してください」とスタッフを募集していましたから、きっと引退となるのでしょう。
それで作りたくなってきたら現場に戻ってくると。
そんな感じでいいと思いますけどね(笑)
毎度毎度の引退宣言の言い回しが、これまたイイ具合にコメントされるので、そろそろボジョレー・ヌーヴォー解禁の時期がやってきたなぁと思いを馳せたのでありました。