ブラック企業という存在が露わになって数年、厚生労働省は一体何をしているんだ?と疑問を抱いて久しい今日この頃。
厚労省が中々のファインプレーを見せてくれました。
人呼んで「ブラック企業リスト」
今回はブラック企業とは何か改めて見ていくとともに、ブラック企業リストとは何かを探ってみました。
ブラック企業の定義
ここ数年「ブラック企業」という言葉が定着しました。
- 長時間労働
- 休憩なし
- 安全衛生なし
- 賃金未払い
- サービス残業
- パワハラ・セクハラ
- 過剰なノルマ
上記のように倫理的、法的に真っ黒な状況で営業している会社というイメージは容易ですが、実際にはどのように定義されているのでしょう。
厚生労働省もブラック企業を問題視していますが、具体的に定義していません。厚労省がブラック企業への対策を立てる上でどんな表現をしているかというと、
「若者の「使い捨て」が疑われる企業等」
と表現しています。
ブラック企業より酷い言い草やないか(笑)
36協定とは
さぶろく協定と呼ばれることの多いこの協定。
36協定は労働基準法36条に基づく労使協定からきているニックネームです。
この36協定は大体の企業で結ばれるものですが、適当に話を聞いて、適当に文書を読んでから雇用契約書にサインしている方もいるのではないでしょうか。
これは労働基準法で決められている労働時間を超えた時間外労働、つまり休日出勤や残業を命じる場合に必要になる協定です。
これを結ばないで残業をさせると労働基準法違反となり懲役または罰金が科されるので、大体の企業は36協定を結びます。
一般的な労働者の場合、協定で可能になる最大の残業時間は
- 1週間で15時間
- 2週間で27時間
- 1ヶ月で45時間
- 2ヶ月で81時間
- 3ヶ月で120時間
- 1年間で360時間
が許容範囲となっています。
許容範囲といえど、なかなかの長時間です。
このあとに但し書きがされています。
ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特にひっ迫した場合は、労使の協議を経て、6回を限度として1ヶ月60時間まで、1年420時間までこれを延長することができる。
もちろん悪用しないように、特別の事情というものも定義されています。
ちなみに新技術・研究開発は適用外です。
研究職はどうしても長時間になりがちなので仕方がないのですが、悪用する職場がないことを祈るばかりです。
以下に紹介するブラック企業リストは、そういった協定なども粉微塵にするんですけどね(笑)
厚労省のブラック企業リストとは
正式名称は
「労働基準関係法令違反に係る公表事案」
先程紹介した「若者の「使い捨て」が疑われる企業等」というネーミングも中々ですが、今回も慇懃無礼に罵倒しているように感じる、けちょんけちょんなネーミングセンスです。
流石の厚生労働省(笑)
このリストは一年間に各都道府県の労働局が労基法違反した企業を公表した分のまとめになります。
危険がいっぱい!?
PDFファイルが75ページありますのでボリューム満点です。
ここで紹介するには多すぎるのでいくつか抜粋します。
露骨に出すのもアレなので名称は伏せて紹介します。
最初の会社はどう見ても某会社ですが、その他は各都道府県のローカルな会社です。
実名で見たい場合は厚労省の公式サイトに行きましょう。
(株)D
労働者2名に36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせたもの。
過労死問題のニュースで問題になりましたね。
2017年7月5日に起訴されましたが、同年10月21日に有罪が確定しています。
上記で紹介した36協定の大幅な違反、その影響で過労死に追いやったことが大問題でした。
残業時間の記録を調整するという行為は、サービス残業は当たり前という周りの雰囲気も手伝ってか罪悪感なくお手軽に出来てしまうので、36協定の違反ってめちゃくちゃ多いと思います。
リスト内には36協定の違反がとても多く見られます。
(株)S
知的障害のある労働者3名に、東京都最低賃金を下回る賃金しか支払わなかったもの。
とんでもないですね。
賃金の詐称は日本語があまり分からない外国人労働者に対しても問題になっていますね。
(株)K
TV映像不良調査作業に際し、直下まで高さ約15mの屋上作業場の端からの墜落防止措置を行わなかったもの。
実作業では安全な立ち位置で作業していたのでしょうが万が一のことがあります。一歩間違えれば大けが、死亡事故になります。
(有)F
他者から派遣された労働者をさらに別の会社に派遣すること(二重派遣)により利益を得たもの(中間搾取)
変わり種の事例です。
なんじゃそりゃって感じですが、雇う側から強く言われてしまうと従ってしまうでしょうね。
(株)Y
36協定の締結なく違法な時間外労働を行わせ、労働者12名に対して割増賃金約600万円を支払わなかったもの。
賃金未払いと協定違反の合わせ技一本です。
確かに人件費って大きいですが、こんなに沢山賃金をカットしていては普段の業務で利益が出ているのか不安になります。
まとめ
このリストで明らかに目立つものは「36協定の違反」「賃金の不正」「安全衛生の違反」この3つが主です。
これらは比較的、労働者の通報や監査で見つけやすい特徴があるからです。
またパワハラは表沙汰になりにくいため、このリストに乗っていない会社でもブラック企業はたくさんあるかと思います。
おかしいと思ったら公的機関への相談の他、業務記録・証拠の取得、転職など、自衛策も考えておきましょう。